基礎の塗装が剥がれていたり膨れていたりすると、「そろそろ塗り直した方がいいのかな?」と思う方も多いのではないでしょうか。
しかし実際の現場では、塗装そのものよりも、その下にある基礎コンクリートに原因があるケースが少なくありません。
例えば、
・コンクリートの中性化
・モルタルの浮きや剥離
・白い粉(エフロレッセンス)や針状結晶の発生
・コンクリート強度の低下
などが進行した結果として、塗装が浮いたり剥がれたりすることがあります。
再塗装すれば見た目は綺麗になります。しかし原因を解決しなければ、数年後に再び同じ症状が発生することもあります。
この記事では、基礎塗装が剥がれる本当の原因や、再塗装する前に確認したいポイントについて、実際の現場事例を交えながら解説します。

基礎塗装の剥がれは「結果」であることが少なくありません
塗装が剥がれていると、多くの方は塗装の寿命や施工不良をイメージします。
もちろんそれも原因のひとつです。しかし現場で実際に調査をすると、「塗装が悪かった」というよりも「下地に問題があった」ケースの方が多く見られます。
お客様からよくいただく質問
基礎のお問い合わせのお電話の際によく聞かれるのが、
「塗装が剥がれているだけなら大丈夫ですよね?」
というご質問です。
正直なところ、現場を見ないと分かりません。
塗装だけが剥がれている場合もありますが、コンクリートやモルタルの劣化が原因になっているケースもあります。
実際に調査をすると、塗装の剥がれは原因ではなく結果だったというケースが少なくありません。そのため私たちは塗装を見るのではなく、まず「なぜ剥がれたのか」を確認しています。
実は塗装の下でコンクリートが劣化していることがあります
ここは塗装業者さんのホームページではあまり触れられない部分です。
私たちは基礎補強工事や床下点検を行うため、塗装よりもコンクリートの状態を重視しています。
中性化によってコンクリートが弱くなっているケース
コンクリートは本来アルカリ性ですが、長い年月をかけて空気中の二酸化炭素と反応すると徐々にアルカリ性が失われていきます。これを「中性化」と呼びます。
中性化が進行すると、
・鉄筋が錆びやすくなる
・コンクリートが脆くなる
・表面がポロポロしやすくなる
といった症状が現れることがあります。
築30年以上の住宅では比較的よく見かける症状です。
コンクリートがポロポロしている場合は注意
現場では、指で触ると手に粉が付いたり、砂のように崩れてしまう基礎を見かけることがあります。
こうした場合は単なる塗装の問題ではなく、コンクリートそのものが劣化している可能性があります。
塗装をやり直しても下地が弱ければ再び剥離することがあります。そのため私たちは必要に応じてコンクリートの強度検査を行います。
見た目だけでは判断できないからです。
実際に築35年の住宅では、塗装の膨れをきっかけに調査を行ったところ、基礎表面が広範囲で脆弱化していました。お客様は塗装の問題だと思われていましたが、原因はコンクリート側にありました。
白い粉や針状の結晶が出ている場合
塗装の剥がれと同時に、白い粉や針状の結晶が出ている住宅もあります。
場合によっては塗装の剥がれがきっかけで、基礎の深刻なダメージを発見するケースもあります。
エフロレッセンス(白華現象)とは?

エフロレッセンスとは、コンクリートやモルタルの表面に白い粉状のものが現れる現象です。
「白華(はっか)現象」と呼ばれることもあります。
コンクリートの内部には、水酸化カルシウムという成分が含まれています。
この水酸化カルシウムが雨水や地中からの水分とともにコンクリート内部を移動し、表面へ運ばれます。
そして空気中の二酸化炭素と反応することで、炭酸カルシウムという白い結晶となって現れます。
これが私たちの目に見えるエフロレッセンスです。
そのため、白い粉そのものが原因ではなく、
・コンクリート内部で水分移動が起きている
・雨水が浸入している
・ひび割れやモルタルの浮きが発生している
といった状態の結果として現れることがあります。
実際の現場でも、エフロレッセンスが発生している基礎を調査すると、
・塗装の膨れ
・モルタルの浮き
・ひび割れ
が同時に見つかるケースが実はかなり多いです。
白い粉を薬品を使って落とす方法もあります。また、落とせば見た目は綺麗になります。
しかし、水分移動の原因が残っていると再び塗装の剥がれが発生することもあります。
そのため私たちは、エフロレッセンスを単なる汚れとしてではなく、基礎コンクリートからのサインとして確認するようにしています。
針状(しんじょう)結晶とは?

針状結晶とは、基礎表面に針のような細長い白い結晶が発生する現象です。白い粉状に見えるエフロレッセンスと似ていますが、発生の原因が異なります。
土壌中に一定量以上の硫酸塩が含まれている場合、雨水や地中の水分と結合し、基礎表面に針状の結晶として現れることがあります。
この針状結晶が見られるお家では、床下の束石が化学変化で粉々になっていたり、コンクリートもポロポロ壊す「微細破壊」というコンクリートを壊して強度を下げるという、非常に怖い現象となって表れています。
また、針状結晶が発生している基礎では、外側では塗装の膨れや剥がれ、モルタルは浮きや結晶化した粉がが同時に見られることも多いです。
そのため私たちは、針状結晶がでているお家にはかなり注意したほうがいい旨をお伝えします。そして針状結晶以外でも、
・基礎まわりの水はけ
・土壌や水分の影響
・モルタルの浮き
・コンクリート表面の劣化状態
まで確認するようにしています。
針状結晶は、見た目だけは「白いふわふわしたきれいなもの」に見えるかもしれません。
しかし現場では、コンクリート破壊の極めて危険なサインとして捉えています。
塗装の膨れや剥離につながることがあります
エフロレッセンスや針状結晶が発生している基礎では、水分移動が活発になっているケースがあります。
その結果、
塗膜の膨れ
↓
塗膜の浮き
↓
塗膜の剥離
という症状につながることがあります。
私たちの経験では、再塗装する前に必ず剥がれた原因を調査します。
エフロレッセンスや針状結晶が発生している住宅は、その症状以外でも「湿気や床下の換気具合、土壌の性質など」を確認した方が良いケースが多いと感じています。
モルタルの浮きが原因になっていることもあります
塗装が剥がれていると思っていたら、実際にはモルタルが浮いていた。
これは私たちが現場でよく見るケースです。
モルタルは突然剥がれるわけではありません
モルタルは多くの場合、
ひび割れ
↓
浮き
↓
剥離
↓
剥落
という順番で進行します。
剥がれた部分だけを見ると小さな不具合に見えます。しかし周囲を打診すると広範囲で浮いていることもあります。
実際の現場事例
築28年の住宅で、
「塗装が剥がれているので塗り直したい」
というご相談をいただいたことがあります。
現地調査をすると、塗装の問題ではありませんでした。モルタルが広範囲で浮いており、塗装はその結果として剥がれていただけだったのです。
もし再塗装だけを行っていたら、おそらく数年以内に再発していたと思います。
再塗装する前に確認したいポイント
私が個人的に一番伝えたいのがここです。
塗装だけ直しても解決しないことがあります
塗装の剥がれには必ず原因があります。
その原因が、
・塗装の寿命なのか
・モルタルの浮きなのか
・中性化なのか
・コンクリート劣化なのか
によって必要な工事は変わります。
だからこそ、見た目だけで判断して再塗装するのはおすすめできません。
床下点検が重要な理由
また、基礎の外側だけを見ても分からないことがあります。
床下に入ると、
・クラックの状況
・湿気の状態
・鉄筋腐食の兆候
・不同沈下の有無
など外側の基礎からわからなかった部分が見えてきます。
外側からは綺麗に見えても、床下側で問題が進行していることもあります。だからこそ現地調査が重要なのです。
基礎補強が必要なケースと不要なケース
塗装の剥がれを見て、
「基礎補強が必要ですか?」
と聞かれることがあります。
補強が不要なケース
・塗膜だけの剥離
・軽微なモルタルの劣化
・コンクリート強度に問題がない
・構造的な異常がない
このような場合は補修のみで対応できることがあります。
補強を検討するケース
・鉄筋腐食が進行している
・コンクリート強度が低下している
・大きなクラックが発生している
・不同沈下が見られる
・無筋コンクリート基礎で劣化が進行している
こうしたケースでは基礎補強を検討することがあります。
ただし、私たちは見た目だけで補強を判断することはありません。必要に応じてコンクリート強度や劣化状況を確認した上で判断しています。
プロの視点|私たちが塗装の剥がれを見たときに最初に確認すること
塗装の剥がれを見つけると、「再塗装しなければ」と考える方が多いかもしれません。
しかし私たちはまず塗装を見ません。
最初に確認するのは、「なぜ剥がれたのか」です。
塗装の寿命なのか。モルタルの浮きなのか。中性化による劣化なのか。コンクリート強度の低下なのか。
原因によって対応方法は大きく変わります。
実際の現場では補修だけで済むケースもあります。反対に、塗装の剥がれだと思っていたら基礎補強が必要だったケースもあります。
大切なのは見た目で判断しないことです。
塗装の剥がれは原因ではなく結果であることが少なくありません。
もし基礎塗装の剥がれや膨れが気になったら、再塗装を検討する前に一度基礎コンクリートの状態を確認してみることをおすすめします。












