新築で家を購入してからまだ5年も経ってない・・・。それなのに基礎にひび割れがあるけど、大丈夫なのかと不安になりますよね。

またなぜせっかく新築で買ったのにどうして・・・と後悔する気持ちも出てくるかもしれません。ただ、本当にそのひび割れが適性のものでしょうか?

この記事では新築の基礎にひび割れが起きてしまった場合の原因と、本当に補修が必要なのかについて解説します。

床下点検・検査

基礎のひび割れの種類とは

基礎のひび割れには、いくつか種類があります。大きくわけて、「ヘアークラック」と「構造クラック」の2つがあります。まずはこの2つのクラックについて詳しく紹介していきます。

ヘアークラック(幅:~0.3mm未満)

ヘアークラックは幅0.3mm未満、深さ5mm未満のクラックのことで、基礎にうっすらとひび割れが見える状態のことです。

施工当初の乾燥収縮で起きる場合と、基礎が徐々に劣化してひび割れが起きてくる場合とがありますが新築の場合は家全体で数本のヘアークラックは基礎の強度に特別影響があるわけではありません。安全面では許容範囲内と言えるでしょう。

しかし、基礎の全体にあまりにも多くヘアークラックが発生している場合は別です。床下の内側の基礎や耐圧版(スラブ)と呼ばれる基礎の底部分に何本ものひび割れがある場合はかなり注意したほうが良いです。

また、鉄筋コンクリートの場合は雨水が浸透することにより爆裂現象の危険性がありますので、クラックを埋める補修をしても良いかもしれません。

構造クラック (幅:0.3mm以上)

構造クラックとは、幅0.3mm以上、深さ5mm以上のひび割れのことです。表面だけでなく、内部の鉄筋までひび割れが届いているケースが多く、この場合は基礎に補強が必要です。

しかし、新築の住宅でこのような構造クラックが発生している場合はほとんどありません。もし新築なのに構造クラックがある場合は何かしら施工に異常があると思いますので、早急にプロに点検をしてもらってください。

また、ひび割れの幅は「クラックスケール」というもので測ることができます。

クラックスケールはホームセンターやアマゾンなどで数百円で購入することができ、今の基礎の幅が数値で客観的にみてとれるものとなりますので、一度ご自身で見ても良いと思います。

複数のひび割れがある場合

新築で複数のひび割れが色々な場所で発生している場合、原因は基礎構造や初期の打設不良にある可能性があります。

私どもが点検した際でも多数のひび割れを見ることがあり、症例数としても意外と多いです。通常であれば複数の場所でひび割れは発生しませんので、注意が必要となります。

水平方向、横のひび割れ

横にひび割れが生じている場合、基礎が深刻な劣化をしていることが多いです。

上から下へ縦方向のひび割れであれば経年と共に揺れや乾燥などで基礎が劣化しているといえるのですが、横方向にひび割れが設計や施工に問題があるか、家の周辺環境(湿気が多い、山・川が近いなど)によって鉄筋の錆から起きる場合が多いです。

新築の基礎にひび割れが起きる原因とは?

なぜ新築の住宅でひび割れが起こるのでしょうか?原因は基礎を打設してからの状況が主に関係してきます。

乾燥収縮によるひび割れ

原因の一つが基礎の初期打設時での「乾燥収縮」です。大気が乾燥している状態だと、打設されたばかりのコンクリートの中から水分が少しずつ蒸発していきます。すると、コンクリートの体積が小さくなるため収縮しひび割れを起こします。

この「乾燥収縮」はひび割れの原因としては一番多く、ひび割れの多さや幅や長さなどによって見極めが必要となります。

セメントの水和熱による気温変化でのひび割れ

基礎コンクリートの材料であるセメントと水が水和反応を起こすことによるひび割れもあります。水和熱が起きると、材料を混ぜている最中から硬化とともに温度が上昇していきます。大体5日くらいで温度は最高点に達し、外気温程度になるには2~3週間ほどかかります。

そのため、コンクリートの温度が上昇している際は膨張し、冷めてくると収縮するため、温度差によってもひび割れが起きてきます。

不同沈下

お家の地盤の強さによっては建物が少し沈むことにより基礎に亀裂が入ることがあります。特に海や川などの水分量の多い土地や盛り土をしてまだ地盤が柔らかいお家は注意が必要です。

新築のお家ではしっかりとした地盤調査がされますが、それでも少なからず起きてきます。 法面(のりめん)の造成によっては、最悪の場合倒壊まで至ることがあります。

地震によるひび割れ

基礎打設後に地震が来る場合でもひび割れが発生します。コンクリートは縦の重さにはとても強いのですが(家の荷重)、地震での横の引っ張りには弱いという性質を持っています。

そのため、地震の大きさによっては、せん断ひび割れが起き、繰り返し負荷を受けることにより構造クラックに発展する場合が多いです。

施工不良

基礎打設時のジャンカによって強度が下がった場所に、地震などの負荷でひび割れが発生します。また、鉄筋の配筋に問題があり、鉄筋からコンクリートとの厚み(かぶり厚)が不足している場合などの施工不良によってもひび割れが発生してきます。

コンクリートの中性化

元々強アルカリ性(pH12~13)のコンクリートは雨水や大気中の二酸化炭素と反応することにより、内部のカルシウム化合物が酸性に向かっていきます。

これを中性化と呼びますが、中性化が進んでくると鉄筋が錆びる(腐食)環境下におかれ、次第に腐食が進んできます。そうすると鉄筋が錆びて最大2.5倍にまで膨張、外側のコンクリートを押し出すことによりひび割れが広がっていきます。

場合によっては爆裂現象というコンクリートを崩落させる現象にまで至ってしまう非常に注意が必要な症状です。

新築の基礎にひび割れが起きた場合の対応方法について

新築のスラブ(耐圧版)に発生したひび割れの写真

上の写真は当社アストロホームで点検をした新築のお家のスラブ(基礎の床の部分)写真ですが、こういったひび割れがいたるところにありました。新築のお家といえど、ひび割れはほぼ必ずといっても良いほど起きるため、ヘアークラックが1本~2本であれば問題はありません。

だたし、こちらのお家の場合は数えきれないくらいの数のひび割れがありました。そういった場合は早急にプロの専門家に相談をしたほうが良いです。建てたときのメーカーによって保証期間が異なるため、その保証期間が過ぎる前に相談をしてくださいね。

新築の基礎・ひび割れの補修方法や費用相場について

Uカットシール工法(Vカットシール工法)

引用:リペイント湘南

基礎コンクリートのひび割れをU字(V字)に削りシーリング材、モルタルを施す工法です。簡易的な防水処理で時間も掛からず施工ができますが、基礎の強度については削るためさらに若干弱くなります。

施工の流れ

  1. 基礎のひび割れにU字(V字)で切れ込みを入れる。
  2. 削った箇所をきれいに清掃する。
  3. 最後にシーリング材やモルタルを塗布する。

費用相場について

5,000円~8,000円/1か所

ビックス工法

引用:街の外壁塗装やさん熊本店

ビックス工法は蓋をしたひび割れに対して少しずつエポキシ樹脂を低圧注入していく工法です。毛細血管状に広がったひび割れの奥まで浸透することにより本来の強度が出せる工法で、幅0.1mm未満の微細なひび割れにも効果あります。

施工の流れ

  1. ひび割れ周辺をきれいに清掃する。
  2. ひび割れの上部と注入口以外にパテ剤で蓋をする。
  3. 注入口に加圧注入用のパイプを固定する。
  4. ゴムの圧力で少しずつエポキシ樹脂を注入する。
  5. エポキシ樹脂が固まったら、注入用パイプやパテ剤をきれいにする。

費用相場について

10,000円~20,000円/1か所

ハイブリット工法(アラミド繊維貼り付け)

ハイブリット工法は、コンクリートを強化可能な「アラミド繊維シート」を使用することにより住宅の基礎コンクリートを以前よりも強くする工法です。

アラミド繊維は鋼鉄の5~7倍の引張強度を備えるスーパー繊維で、公共事業である高速道路のトンネルや橋脚の補強などで使用され、長寿化に寄与しています。

施工の流れ

  1. ひび割れ周辺や基礎の立ち上がりをきれいに清掃する。
  2. 地面が土の場合は掘削していく。
  3. 表面に凹凸がある場合は平滑にするため、サンダー処理・パテを塗布する。
  4. 下塗りプライマー塗布
  5. 中塗りのエポキシ樹脂を塗布
  6. アラミド繊維シート貼り付け
  7. 上塗り材塗布
  8. 土を戻して終了

費用相場について

20,000円~30,000円/1m

基礎のひび割れの補修・補強業者を選ぶ際の3つの注意点

基礎コンクリートの補修の知識をお持ちの方はまだまだ少ないため、業者の説明したことを鵜呑みにしてしまい、不要な工事をしてしまうケースがあります。

そうならないために、どういった業者なら安心して頼めるかの基準を記載しましたので、ぜひご覧ください。

1.床下に必ず潜り、外側・内側から現在の状況判断をする

基礎コンクリートの劣化具合はお家の外側から見ただけではわかりません。もちろんある程度の予測はできるのですが、見当がはずれることもしばしばあります。

必ず外側、内側(床下)を見て、総合的に判断してもらえる業者を見つけてください。特にお家の外側は基礎コンクリートの表面に「化粧モルタル」が塗られていて、目に見えるひび割れが化粧モルタルだけなのか、コンクリートまで達しているのかは床下を見てみないとわからないからです。

また、床下からみると外側からは見えない不具合も発見することができ、どう補修するかの判断材料が増えるため、当社アストロホームでは必ず床下に潜るようにしています。

2.写真や数値をもとに説明をしてくれる

業者が床下に潜って確認をしてくれたからといって、「北側の通気口に重大な欠陥があった」と何の証拠もないまま言われても信じてはいけません。しっかりとした業者であれば、注意したほうが良い箇所をすべて写真に収め、その写真を見ながらきちんと説明をしてくれます。そのため、何十枚もの写真の量になるはずです。

また、写真以外にも、客観的に数値で劣化具合がわかるように、クラックスケールを用いてどの程度のひび割れなのか、それがお家のどこにあるのかを説明してもらい見極めるようにしてくださいね。

3.不安を煽ったり、見積書に工程がきちんと記載されている

住宅の外側だけ点検して「この基礎のひび割れはとても危険だ。倒壊するかもしれない。」いきなりこのように説明する業者もいまだにいます。

もしかしたら経験則でそのような話をしているのかもしれませんが、きちんとしたデータや証拠がないにもかかわらず不安だけ煽るのは非常に怪しい業者と思ったほうが良いです。

工事の検討・契約の際は、きちんとしたデータからすべてを納得して、その上でご家族にも相談したうえでご判断するようにしてください。

基礎のひび割れ補修はプロにお任せください

基礎のひび割れの原因はそれぞれのお家で原因が異なってきます。それは基礎打設時の状況や、お家の周辺環境、そして、その後のメンテナンスが異なるからです。

ただし、新築物件の場合は基礎を打設してから1年間位かけてコンクリートが固まってくるため、少しずつひび割れが発生してしまうのが普通です。

しかし、普通より多いひび割れは基礎そのものの安全性に支障をきたす可能性がありますので、注意をしたほうが良いです。今後40年、50年住むことになるお家ですので、長い年月をかけて間違いなくダメージが蓄積されてきますので最初が肝心です。

まずは原因を見極めるためには、プロの業者にご相談くださいませ。また、当社アストロホームは基礎補強専門の会社となりますので、何かあればお気軽に、安心してお任せいただければと思います。

まとめ

今回の記事では、基礎のひび割れの原因や対応などについて触れてきました。新築のお家でもクラックは発生しますが、その具合や数などによって補修が必要かは判断が必要です。

この記事のまとめ
  • 第1章 基礎のひび割れの種類とは

    基礎のひび割れの種類は大きく2つ
     ・ヘアークラック:幅0.3mm未満、深さ5mm未満
     ・構造クラック:幅0.3mm以上、深さ5mm以上

    それ以外にも気をつけた方がよいひび割れはこちら
     ・複数のひび割れが近くにある場合
     ・水平方向に伸びたひび割れ

    クラックスケールがホームセンターやAmazonでも販売されているため、まずは自分でクラックを測定してみるのも良いです。

  • 第2章 新築の基礎にひび割れが起きる原因とは?

    基礎のひび割れの種類は代表的なこの6つ
     ・乾燥収縮
     ・気温変化
     ・不同沈下
     ・地震
     ・施工不良
     ・コンクリートの中性化

    どれもよく起こりうる原因となるが、大事なのは現在お家のどの部分でどういった劣化が進んでいるのか。また、勝手な判断は誤った対処につながる。


  • 第3章 新築の基礎にひび割れが起きた場合の対応方法について

    新築のお家でも基礎コンクリートのヘアークラックは必ず起こるといってよいほど発生します。

    しかし、お家の全体で5箇所以上ある場合は注意が必要です。最初はヘアークラックだったものが、長い年月とともに構造クラックになるため注意が必要です。

  • 第4章 新築の基礎・ひび割れの補修方法や費用相場について

    基礎の補修の方法には次の工法がある。
     ・Uカットシール工法(Vカットシール工法)
     工法:基礎のひび割れに対してシーリング材、若しくはモルタルを充填することにより外からの雨水などを防ぐ工法で、あくまでも防水が目的。
     費用:5,000円~8,000円/1か所

     ・ビックス工法
     工法:エポキシ樹脂をひび割れに対して低圧注入することにより、基礎コンクリート本来の強度を復活させる方法。幅0.1mmの毛細血管状の微細なひび割れに対しても効果がある。
     費用:10,000円~20,000円/1か所

     ・ハイブリット工法(アラミド繊維貼り付け)
     工法:鋼鉄の5~7倍の引張強度があるアラミド繊維を使用することにより、本来の基礎コンクリート強度より強くする方法。
     費用:20,000円~30,000円/1m

  • 第5章 基礎のひび割れの補修・補強業者を選ぶ際の3つの注意点
    以下の点を踏まえて、慎重に業者選定をしてください。

    ・床下に必ず潜り、外側・内側から現在の状況判断をする
    ・写真や数値をもとに説明をしてくれる
    ・不安を煽ったり、見積書に工程がきちんと記載されている

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