家の周りを見ていたら、
「基礎の表面が剥がれている」
「コンクリートが欠けているように見える」
そんな状態を見つけて不安になったことはありませんか?
床下点検や基礎調査のご相談でも、
「基礎が剥がれているので補強工事が必要でしょうか?」
というお問い合わせをよくいただきます。
しかし、基礎の剥がれが見つかったからといって、すぐに基礎補強が必要になるわけではありません。
実際には、建物を支える基礎コンクリートではなく、表面の化粧モルタルだけが剥がれているケースも多くあります。
一方で、鉄筋の腐食やコンクリートの劣化が進行しているケースもあり、放置してはいけない状態も存在します。
この記事では、基礎の化粧モルタルが剥がれる原因や危険性、補修費用、DIYの可否、基礎補強が必要なケースについて現場目線で解説します。

基礎の化粧モルタルが剥がれていても危険とは限りません

まず知っていただきたいのは、住宅の基礎には「化粧モルタル」が施工されていることが多いという点です。
化粧モルタルは建物を支える構造体ではなく、見た目を整えるための仕上げ材です。
そのため、モルタルだけが剥がれている場合は、建物の安全性に大きな影響がないことも多々あります。
ただし、ここで注意してほしいのは、
「モルタルだけが剥がれているのか」
「基礎コンクリート本体が劣化して剥がれているのか」
を見極めることです。
私たちが現場で多く見るのは「化粧モルタルの浮き」から始まる劣化です
基礎コンクリートの表面にあるモルタルは、突然剥がれるわけではありません。
実際に起きる順番として、
- ヘアークラック
- 浮き
- 膨れ
- 剥離
- 剥落
といった具合で進行していきます。
築30年以降のお家に関しては、接着剤(プライマー)を使用せずに施工することが多かったため、厚みのあるモルタルを強引に貼り付けて施工しているようなお家も数多くみられます。
そして、そのようなモルタルの内部に雨水や湿気が入り込み、少しずつ下地との密着が失われていくため少しずつ浮きが出て、剥がれてくるのです。
そのため、剥がれている部分だけ浮きが広がっているケースは少なく、「部分的に直せば大丈夫」とは限りません。
剥がれは化粧モルタル?コンクリート?見分けるポイント

基礎の表面が剥がれている場合、「モルタル」なのか「コンクリート」なのかを見分けることが重要です。
見分ける際の最も大きな特徴は、砂利が入っているかどうかです。
モルタルの特徴
モルタルは、
・セメント
・砂
・水
を混ぜて作られています。
砂利が入っていないため、表面は比較的なめらかで均一です。また、手で触るとザラザラした質感があり、細かな砂粒が見えることがあります。
コンクリートの特徴
コンクリートは、
・セメント
・砂
・砂利
・水
を混ぜて作られています。
そのため、表面には砂利の粒が見えたり、打設時にできた小さな気泡跡(あばた)が見られることがあります。モルタルと比べると表面はゴツゴツしており、凹凸があるのが特徴です。
見分けるポイント
見分けるポイント1ー見た目で見分ける場合
アストロホームでもコンクリートかモルタルか確認する場合は、まず見た目で判断をします。
表面が比較的なめらかでつるっとしている、また砂利が見えない場合はモルタルの可能性があります。
一方で、砂利が見える場合や、表面に気泡跡や凹凸が多く見られる場合はコンクリートである可能性が高いでしょう。
見分けるポイント2ー周囲にひび割れや浮きがある場合
化粧モルタルの剥離では、あるケースが多く見られます。
実際の現場では、
剥がれた部分の周囲を確認すると、
- 浮いている
- 軽く叩くと空洞音がする
- 細かなひび割れが広がっている
ことがあります。この場合はモルタルの密着不良が疑われます。浮きや空洞音の確認際には「打診棒」という点検用の棒を用いて確認をします。
モルタルに浮きがある場所は、しっかり貼り付いている場所と比較して、音の高い「カラカラ」という音がします。打診棒は最近ではホームセンターでも販売されているため、気になる方は購入しても良いかと思います。
剥がれた部分から砂利が見える場合
基礎コンクリート本体が欠けている可能性があります。
コンクリートは砂利を含んでいるため、砂利が露出している場合はモルタルだけではなく構造体まで影響している可能性があります。
鉄筋が見えている場合
鉄筋が見えている場合は要注意です。
モルタルではなく基礎コンクリートが大きく剥離している状態です。
鉄筋腐食が進行している可能性もあるため速やかに点検することをおすすめします。
基礎の化粧モルタルが剥がれてくる原因4つ
モルタル施工時の密着不足
新築時や過去の補修工事の際に、モルタルが十分に密着していなかった場合もあります。
モルタルはコンクリートにしっかり接着している必要がありますが、
- 下地処理不足
- 施工環境の問題
- 材料配合の不具合
などによって密着力が弱くなることがあります。
施工直後は問題なく見えても、数年経ってから浮きや剥がれとして現れることがあります。
気温変化による伸縮の繰り返し
基礎は一年中、気温や湿度の変化を受けています。
夏は高温になり、冬は冷え込みます。
モルタルとコンクリートはそれぞれ微妙に伸縮量が異なるため、その繰り返しによって少しずつ密着力が低下することがあります。
特に築年数が経過した住宅では、この影響によって浮きが発生するケースもあります。
地震や振動による影響
地震やトラックなどの揺れなど、振動によって基礎にわずかな動きが生じ、ひび割れや浮きに繋がることもあります。
その際、構造体であるコンクリートよりも表面のモルタルの方が先にダメージを受けることがあります。
実際に地震後の点検では、
- 新たなひび割れ
- モルタルの浮き
- 部分的な剥離
が見つかることもあります。
塗装によって内部の水分が逃げにくくなっている
近年増えているのが、基礎塗装後に発生する浮きや膨れです。
基礎内部に含まれる水分は、通常であれば徐々に外へ抜けていきます。
しかし塗膜の種類によっては水分が抜けにくくなり、モルタルと塗膜の間で膨れや浮きが発生することがあります。
そのため、剥がれているように見えても、
- モルタルが浮いているのか
- 塗膜だけが浮いているのか
を確認することが大切です。
基礎モルタルの役割や、剥がれを放置するとどうなる?
化粧モルタルの役割
化粧モルタルの役割は主に以下の3点です。
- 基礎の美観
- コンクリートの中性化抑制
- コンクリートの雨水浸透を防ぐ
一番大きな役割として基礎コンクリートの美観のためです。コンクリートむき出しのままでは、表面に小さな気泡跡(あばた)が無数に見受けられますが、モルタルを施すことによりきれいな見た目へと変わります。
また、表面にモルタルを塗ることにより、水の吸い上げが抑え込まれるため「中性化」を防ぐことになります。中性化はコンクリートの劣化の大きな原因となります。
実際に点検をしていても、コンクリートむき出しのお家では表面がポロポロになっていることもあります。
剥がれを放置すると?
モルタルだけの剥がれであれば、すぐに住宅が危険な状態になることは多くありません。
しかし放置すると、
- 剥がれ範囲の拡大
- 美観の悪化
- 雨水の侵入
- コンクリート劣化の促進
につながることがあります。
また、中にはモルタルの剥がれだと思っていたら、内部でコンクリート劣化(中性化)が進んでいたケースもあります。
基礎モルタルの剥がれはDIYで補修できる?
小規模な剥がれであればDIY補修も可能です。ただし、DIYで最も難しいのは、「本当にモルタルだけなのか」の判断です。
コンクリート劣化が進んでいるのに、表面だけ補修してしまうケースもあります。不安な場合は専門家に確認してもらう方が安心です。
実際にDIYで補修を行う際には、次の工程で進めていきます。
- どの範囲に補修が必要か見極める
- 化粧モルタルをハツり、撤去していく
★モルタルのガラは産業廃棄物扱いとなるため、業者手配が必要 - 接着剤となるプライマーをモルタルを塗布する面に塗る
- 軽量モルタルで左官する
★軽量モルタルやプライマーはホームセンターにて購入可能
左官での補修はかなり特殊な技術のため、DIYで行うにはかなり難易度が高いです。DIYで行う場合は、まずどこかで練習をしてから施工可能か確認したほうがよいでしょう。
業者による基礎モルタルの補修費用はいくら?

一般的には、
- 部分補修:数万円程度
- 広範囲補修:10万円〜20万円程度
が目安です。この補修費用にはモルタルを左官することとは別に、現在あるモルタルを一度きれいに剥がす工程も含まれます。
ただし、
- 足場の有無
- 補修範囲
- 劣化状況
によって施工範囲が大きく変わりますので、どこまでの範囲で補修を行うか確認が必要です。
補修だけで済むケースと基礎補強が必要なケース
補修だけで済むケース
- モルタルの剥離のみ
- コンクリート強度に問題がない
- 鉄筋露出なし
- 不同沈下なし
基礎補強が必要なケース
- 鉄筋腐食
- コンクリート劣化
- 大きなクラック
- 不同沈下
- 無筋コンクリート基礎
- 表面に白い粉が見える
- 表面にポロポロしたような剥離が多い
判断が難しい場合はプロに相談を
基礎のモルタルが剥がれていても、必ずしも基礎補強が必要とは限りません。
実際の現場では、
ひび割れ
↓
浮き
↓
剥離
↓
剥落
という順番で進行するケースが多く見られます。
大切なのは、
「剥がれていること」ではなく、
何が剥がれているのか
なぜ剥がれたのか
を確認することです。
見た目だけでは判断できないケースもあるため、不安な場合は床下や基礎の状態を含めて専門家に確認してもらうことをおすすめします。












