住宅の荷重を支えている基礎コンクリートですが、ひび割れが多数見受けられたり、そもそもコンクリートに鉄筋が入っていない無筋基礎のため、耐震強度不足があったりするお家が実はかなり多いのです。

そんな基礎コンクリートの補強工事で用いられるのが「ハイブリット工法」です。ハイブリット工法とは、強化繊維である「アラミド(炭素・カーボン)繊維シート」と接着剤兼強化材の「エポキシ樹脂」の組み合わせです。

あまり知られていない基礎コンクリートのハイブリット工法ですが、このページでは施工方法や、アラミド繊維と炭素(カーボン)繊維の強度や、価格の違いについてご紹介していきます。

床下点検・検査

基礎補強工事・ハイブリット工法とは?

基礎補強工事のハイブリット工法とは、強化繊維である「アラミド(炭素)繊維シート」と樹脂の中でもトップクラスの粘着力を持ち、 揺変性にも優れた「エポキシ樹脂」 の組み合わせで基礎コンクリートの強度を上げる工法のことを言います。

「アラミド繊維」とは高耐熱・高強度のスーパー繊維で、引っ張られる力に対して非常に強力な素材です。

宇宙船や、防弾チョッキにも使用される素材で、強度は鋼鉄の5倍以上ある代物です。基礎コンクリートに「アラミド繊維」を施工する場合、シート状になっている「アラミド繊維シート」を使用しています。

「エポキシ樹脂」は元々1930年代にスイスで歯科材料として開発されたのがきっかけで、硬化速度の調整や優れた接着性、耐久性で塗料や土木建築以外でも電子部品、複合素材などさまざまな分野で活躍している材料です。

ハイブリット工法で使用するエポキシ樹脂は中粘度の塗料でアラミド繊維シートを強力に接着するのに適した接着剤となっており、単体で塗布しただけでも強化材として活躍しています。

「アラミド繊維」と「エポキシ樹脂」は非常に相性が良く、お互いの持ち合わせる強度が相乗効果となり耐震性を高めることが出来ます。

また、この工法は高速道路や公共工事などにも採用されるほどの信頼性があるのと、重機は不要で短期間で工事を完了させることが出来るため、非常にコストパフォーマンスに優れています。

基礎補強工事・ハイブリット工法の工程と費用を紹介!

使用材料について(アラミド繊維シート・タックダイン)

当社ではアラミド繊維シートとタックダイン(エポキシ樹脂)を使用しています。

上でもご紹介した通り、アラミド繊維は鋼鉄の5倍もの引張強度を持つスーパー繊維です。コンクリートは上からのお家の荷重には強い物質ですが、地震などでの横への引張力に弱い構造となっていて、施工することによりそれを補ってくれるものになります。

また、エポキシ樹脂はそれだけでも表面保護と、コンクリートの強度を上げてくれる強化材兼接着剤です。この2つの素材を組み合わせることでより強力な力から耐えられるような補強効果を果たしてくれます。

※ご希望であればNEWタフロンやパワーアラストでの施工も可能です。

基礎補強工事・ハイブリット工法の工程について

ハイブリット工法の工程は次の通りです。

  1. 養生
  2. 表面ケレン処理
  3. 地面掘削(布基礎の場合)
  4. 下塗り材塗布
  5. 中塗り材塗布
  6. アラミド繊維シート貼り付け
  7. 上塗り材塗布
  8. 整地・ゴミ片付け

1.養生

砂埃や塗料などからお家を汚さないようにしっかりと点検口まわりを養生します。

2.表面ケレン処理

写真のように、コンクリートの表面には劣化によるでこぼこがある場合が多いです。そこでまず基礎コンクリートの表面の汚れや劣化部分をきれいにしていきます。でこぼこがひどい場合や窪んでいたりする場合は、きれいに施工ができないため、サンダーを使うか、パテ剤で平らにしていきます。

また、ひび割れにシーリング材や断熱シートが貼ってある場合についても同様にきれいにします。この表面ケレン作業の精度が後の作業にとって重要な役割を果たすためきっちりと時間を使って作業を行います。

3.地面掘削(布基礎の場合)

床下点検口を開けると、土になっているお家は「布基礎」と言われるお家で床下一面に土がありますが、そういったお家では基礎コンクリートの際の部分を掘削していきます。

この作業によりエポキシ樹脂を塗布する面積が増えより強度が増すのと、よりきれいにアラミド繊維シートや上塗りをすることに繋がります。

※ベタ基礎(床部分がコンクリート)の場合はこの作業はありません。

4.下塗り材塗布

表面ケレン処理、地面の掘削が終わったら、下塗り材(タックダインPS-10G)を塗っていきますが、においが強い薬剤を使用するため、換気扇などで空気を入れかえます。主剤、硬化剤を3:1の割合で混ぜます。

下塗り材の塗布は次に塗る薬剤がより接着するよう、しっかりと隅々まで基礎コンクリートにしみ込むように行っていきます。作業員はにおいでの健康対策のために防毒マスクを使用して作業にあたります。

5.中塗り材塗布

次はタックダインPE-10GⅡで中塗りをしていきます。こちらも薬剤は主剤、硬化剤3:1の割合で混ぜます。

また、このタックダインは中粘度のものでかなりドロドロとした薬剤となっていて、接着剤の代わりだけでなく、表面保護や強化材としても使われているものです。この薬剤でアラミド繊維シートが貼り付くよう厚めにしっかりと塗っていきます。

6.アラミド繊維シート貼り付け

中塗りの工程が終了したらすぐにアラミド繊維シートを貼り付けていきます。脱泡ローラーで空気を抜きながらよりコンクリートにシートの全てが密着するようにしていきます。薬剤が乾く前に接着させます。

通気口部分は強度が弱いため、アラミド繊維シートは様々な幅のものを使用し、縦・横方向に貼り付けして強度を上げていきます。アラミド繊維シートを使用する密度や幅、量によって強さが変わるため、出来る限り強度アップにつながるように施工しています。

7.上塗り材塗布

アラミド繊維シートがさらに密着して貼り付くように、上塗りをおこなっていきます。繊維シートの繊維が見えなくなるくらいまで厚塗りを行います。

8.整地・ゴミ片付け

上塗りがきちんと塗布されているかチェックが完了したら、堀った土を元に戻し、床下にあるゴミを片付けて完了となります。

ハイブリット工法の価格(金額)について

弊社では1mあたり17,000円(税別)となります。20m以上の施工については割引サービスがございますので担当にお尋ねください。

ハイブリット工法の施工期間について

部分補強や施工範囲が30m未満であれば1日、それ以降の範囲については2~3日となります。

炭素繊維との強度の違いは?

強化繊維として「アラミド繊維」とよく比較されるのが「炭素繊維(カーボン)」です。どちらも強化繊維ですが、どのように違うのでしょうか?繊維についてまとめてみましたので、ご覧ください。

使用用途 強さ特徴
アラミド繊維宇宙船、防弾チョッキ、タイヤなど鋼鉄の5~8倍 鋼材と比較し、重量は約5分の1、引張強度は約7倍です。軽量のため施工に重機が不要で、狭い作業空間での施工も可能です。
炭素繊維航空機、自動車、スポーツ用品など 鋼鉄の6~10倍 高温処理によって炭素の分子が独特の結晶構造で強く結びつくため、軽くて丈夫という特徴があります。さびにくく耐熱性に優れ、電気を伝えやすいという特性があります。

アラミド繊維も炭素繊維も、どちらも基礎補強工事に浴しようされる素材で軽くて丈夫という特徴があります。

素材の強さだけみれば炭素繊維のほうがアラミド繊維よりも若干強度が高いですが、耐摩性は「アラミド繊維」の方が強く、「炭素繊維」はコンクリート表面のでこぼこによっては剥がれやすいという難点があるため、「ハイブリッド工法」にはアラミド繊維が採用されることが一般的となっております。

また、単純に素材の強度にも注意しなければなりません。一括りにアラミド繊維(炭素繊維)シートといっても様々な種類があり、その密度や幅に大きな差があります。

市販で売られている繊維シートは薄いものが多く実際に補強工事をするためには強度不足となります。施工する会社によっても使用する繊維シートの密度や幅、貼り方が異なるため施工にあたっては、くれぐれも注意をしてください。

基礎コンクリート補強(補修)の他工法と、施工する理由について

住宅の基盤ともなる基礎コンクリート。基礎コンクリートは経年により劣化をする為、強度を保つ為にもメンテナンスを行っていく必要があります。

1981年に改正された建築基準法により、基礎コンクリートを施工するルールが変わりました。1981年以前に建築された住宅の基礎のほとんどは「コンクリートのみ」で施工されているのに対し、1981年以降に建築された住宅の基礎は「コンクリート+鉄筋」が必須条件として施工されています。

ではなぜ基礎に鉄筋を入れる必要があったのでしょうか。

それは基礎コンクリートの強度を上げるためです。コンクリートは気温や湿度の変化などで伸縮を繰り返す性質を持っています。打設時には特に影響を受けます。

さらにコンクリートは上から押される力(家の荷重を支える)には強いのに対し、横からの引っ張られる力には弱いという特徴もあります。その為、地震などの揺れがあった際に、引っ張りに耐えられずクラックが発生してしまいます。

それに対して鉄筋は、引っ張られる力に強いという特徴があります。

その為、基礎コンクリートに埋め込むことで、横からの引っ張りに強い基礎コンクリートになるということです。

無筋の基礎コンクリートは耐震性を保つ為にも補強を行う必要があります。しかし、無筋の基礎コンクリートに後から鉄筋を入れることは出来ません。

その為、基礎コンクリートの補強(補修)にはいくつかの方法があります。

基礎コンクリート「クラック補修」

最も簡易的なのは「クラックの補修」です。

前述したとおり、基礎コンクリートは性質上、自然にクラックが入り劣化をします。

しかしクラックを補修することで強度を保ち直すことが出来ます。

その為、クラックなどが入ったらその都度補修をする必要があります。

有筋の基礎コンクリートであれば、このようなメンテナンスをすることで強度を保つことは可能です。

しかし、無筋の基礎コンクリートの場合は、補強工事で強度を保つ必要があります。

基礎コンクリートの「基礎の増し打ち」

基礎コンクリートの補強方法として「基礎の増し打ち」があります。

これは既存の基礎に対して、コンクリートを抱かせるように施工を行うことで、増し打ちしたコンクリートと一体化させ、強度を上げるという方法です。

さらに床下前面にコンクリートを増し打ちすると、基礎全体が一体化し、さらに強度を上げることも出来ます。

しかし「コンクリートの増し打ち」という工法は大きなデメリットがあります。

それは高コストだということです。

コンクリートを床下へ施工する為に、室内の床を剥がす必要があることや、専用重機を使用する必要があるためです。

その為、基礎コンクリートの補強のみを検討しているといった方には不向きな施工方法です。

一戸建てのお家での補強価格はどれくらい?

基礎補強は様々な方法がありますが、気になるのはその値段だと思います。

まず最初に紹介した「コンクリート増し打ち」です。

前述したとおり、コンクリートを増し打ちするためには室内の床を剥がす必要があったり、重機を使用する必要があります。

その為、予算は200~300万程で、工期は1ヶ月以上掛かります。

次にお勧めの「ハイブリッド工法」です。

ハイブリッド工法の相場は\20,000/m程です。

一般的な住宅の基礎コンクリートは、30~50m程なので、60~100万程になります。

工期は1~3日ほどで完了します。

さらに室内工事などの付帯工事なども不要です。

まとめ

基礎コンクリートは住宅を支える上で最も重要な基盤となります。

万が一劣化している状態で、大型地震などの強い付加が掛かってしまった場合、住宅の傾きだけでなく倒壊に繋がる恐れがあります。

そういった大きな被害に繋がらないためにも、基礎の補強は十分に行っておく必要があります。

床下点検・検査

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