住宅の基盤ともなる基礎(土台)ですが、現代では多くの住宅の基礎には型を作り、コンクリートを流し込むのが主流となっています。

しかし、昭和50年代以前に建てられた住宅ではコンクリートブロックを使用したブロック基礎が採用されている住宅もありました。

そのようなブロック基礎の住宅でも、基礎の補強は可能です。

どのように基礎の補強をすればお家を長持ちさせることが出来るか詳しく解説していきます。

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住宅のブロック基礎とは

住宅の重みを支える基盤となる基礎。

現代の住宅は、2000年に建築基準法の改正があったということもあり、震度7クラスの地震に耐えられる基準を満たした住宅しか建設することが出来ません。

その為、布基礎、ベタ基礎と、全て鉄筋が入ったコンクリート基礎が採用されています。

しかし、昭和50年代までの住宅にはコンクリートブロックが基礎に採用されている場合もありました。

現代のコンクリートブロックの使い方といえば、門塀やフェンスの下地になったり、団地やマンションの間仕切り壁の下地となったり、比較的付加が掛かり辛い場所に採用されています。

なぜならコンクリートブロックは強度が著しく低いためです。 

さらにコンクリートブロック基礎が採用されていた時代は、鉄筋が無い「無筋の基礎」の場合がほとんどのため、ブロック基礎が採用されている住宅は耐震性が低く非常に危険な状態で、 以前にもコンクリートブロックの擁壁が倒れてきて下敷きになり亡くなるという悲しい事故もありました。

戸建住宅も同様に、地震や台風などの天災の影響で最悪の場合は倒壊してしまう恐れもあるので、しっかりと基礎を補強し、住宅の崩壊から守りましょう。

戸建住宅のブロック基礎の補強方法について

住宅の基礎を補強する場合には、いくつかの方法で施工が可能ですが、こちらでは一番費用対効果に優れた「ハイブリット工法」をご紹介していきます。

アラミド繊維を用いた「ハイブリット工法」で強度アップ!

基礎コンクリートの補強工事を調べる上でよく出てくる素材が「アラミド繊維」です。

「アラミド繊維」とは高強度・高耐熱のスーパー繊維のことで、引っ張られる力に対して非常に強力な素材です。(スーパー繊維とは、衣料品などの繊維と比べ強度や弾性率、難燃性等が非常に高い繊維のこと)

高速道路や光ケーブル、防弾チョッキにも使用される素材で、強度は鋼材の5倍以上あります。

この「アラミド繊維」をブロック基礎に施すことで、基礎の強度を上げることが出来ます。 

ブロック基礎に「アラミド繊維」を施工する場合、シート状になっている「アラミド繊維シート」を使用し、表面に貼り付けていきます。

お家全体をジャッキアップしたり、床を剥がしたりといった工程がない分、他の基礎補強工事と比較して安価で行えるというメリットがあります。 

「ハイブリッド工法」とは「強化繊維」と「樹脂」を掛け合わせた施工方法です。

アラミド繊維を貼り付けるために、樹脂の中でもトップクラスの粘着力を持ち、強度にも優れた「エポキシ樹脂」を組み合わせます。 

「ハイブリッド工法」の施工方法は非常にシンプルです。

基礎の表面に下地となる「エポキシ樹脂」を施し、重ねるように「アラミド繊維」を貼り付けます。さらに重ねて「エポキシ樹脂」で仕上げるという重ね塗り工法です。

「アラミド繊維」と「エポキシ樹脂」は非常に相性が良く、お互いの持ち合わせる強度が相乗効果となり耐震性を高めることが出来ます。

この工法は、高速道路や公共工事などにも採用されるほどの信頼性があります。

他の工法の施工方法や金額の比較はこちら

他にも基礎補強工事の方法がありますが、気になるのはその施工方法や金額だと思います。

ブロック基礎の補強:ハイブリット工法での金額は?

 まず上で解説した「ハイブリッド工法」の相場は15,000円~35,000/1mです。

基礎の横幅1メートルあたりの金額設定となっていることが多く、一般的な住宅の基礎コンクリートは、30~50m程なので、50~100万円前後になります。

床下から施工をすることが多いため、室内の養生とアラミド繊維貼り付け、上塗りまで含めて工期は1~3日ほどで完了します。

もし、施工を検討されている方は、施工する会社によって補強の要であるアラミド繊維シートの幅が異なるため、注意が必要となりますのでしっかりと確認してみてくださいね。

ブロック基礎の補強:コンクリート増し打ちの施工方法や金額は?

また「コンクリートの増し打ち」という施工方法もあります。

コンクリートの増し打ちというのは、既存のブロック基礎に連結させるように鉄筋を配筋し、コンクリートを打つことで基礎とコンクリートを一体化させ強度を上げるという方法です。

床下前面にコンクリートを増し打ちすると、基礎全体が一体化しさらに強度を上げることも出来、さらに土壌からの湿気を抑えることが出来たりと、ベタ基礎のような効果を得られることがメリットとなります。

しかし「コンクリート増し打ち」はコンクリートを直接床下へ打設しなくてはならないため、室内の床を剥がしたり、さらに流し込むコンクリートの厚みを持たせる為にも、土壌から土を漉き取る必要もあるため、かなり大掛かりな工事となり、費用もかさみます。

大規模なリフォームやリノベーションを検討している方には工事の工程の中で行うことができるため、良い工法となります。

また、金額は200~300万程で、工期は1ヶ月以上掛かるのが難点です。

(注意)基礎の「補強工事」と「補修工事」は強度が異なる

ここで一つだけ注意点として覚えておいていただきたいのは、基礎の強度を保つことと、基礎の強度を上げることは施工の目的が異なります。

基礎は新築時から時間が経つ事で経年劣化を行います。打設当初の乾燥によるクラックが入ったり、その後地震や立地環境によるものが原因がクラックが発生したり、ひびが広がっていったりします。

「基礎補修」は細かいクラックに対して、水の侵入防止や元の強度に戻すことが目的の工事で簡単な内容がほとんどです。しかしそのほとんどが根本の原因であるコンクリートを直す目的では行っておりません。

クラックを補修せずに放っておくと、さらにクラックが広がり、家の傾きや鉄筋の錆による基礎の崩落に繋がる原因にもなります。それを根本解決してくれるのが基礎補強工事です。

まとめ

ブロック基礎はその強度の低さから、現代の住宅で採用されることはありません。

もし自身の住宅の基礎がブロック基礎だった場合、地震、台風などの天災で住宅が倒壊しないようにする為にも早急に補強工事を行う必要があります。

また基礎補強と合わせて他の工事も行うのか、基礎補強単体工事を行うのかなど、様々な条件からどのような補強工法を採用するか検討してみるといいと思いますのでご検討ください。

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