家の土台として活躍する基礎コンクリートには、種類があります。その中には、鉄筋なしの無筋コンクリートがあることをご存知でしょうか。

1981年6月より、住宅の基礎コンクリートには鉄筋を入れることが義務付けられています。それ以前の住宅では任意だったため、鉄筋が入っていないお家も多々ありました。

鉄筋が入っていない場合は基礎の強度が低かったり、劣化しやすいなど耐震にも様々な危険があります。

今回は、そんな鉄筋が入っていない基礎コンクリートである「無筋コンクリート」の特徴や放っておいた場合の危険性と耐震補強の方法について紹介していくので、参考にしてみてください。

床下点検・検査

基礎コンクリートの種類は有筋と無筋!

基礎コンクリートには、主に「鉄筋(有筋)コンクリート」と「無筋コンクリート」があります。この二つの違いはその名の通り、「鉄筋ありと鉄筋なし」といったことが特徴です。

鉄筋コンクリートは、家の土台として強度を高めるために、コンクリート内に鉄筋があり、土台としてしっかりしているのがメリットになります。 

無筋コンクリートは、鉄筋なしの基礎コンクリートで、土台としては強度が足りないことから現在の耐震基準では使用することができません。 

また鉄筋、無筋コンクリートそれぞれにメリットとデメリットがあります。 その特徴を次で紹介します。

無筋・鉄筋(無筋)コンクリートの特徴と性質

無筋コンクリートの特徴と性質

無筋基礎ひび割れ

鉄筋なしの基礎コンクリートである「無筋コンクリート」は、鉄筋が細かく入っていないため、打設時に乾燥収縮によるひび割れが発生しやすいです。

また、その後の経年劣化や地震でも1か所にダメージが蓄積され、ひび割れが広がりやすいのが特徴です。鉄筋が入っていないため横の引っ張りに弱く、ひび割れを抑制することができないからです。

上の写真のように特定の場所のひび割れが大きくなり、家の歪みにより床の傾きやサッシが閉まりにくくなる、外壁のひび割れなどの2次被害が起きてきます。

現在の住宅ではひび割れが発生しても、問題ない箇所に使用することを前提としているコンクリートであるため、ひび割れを抑制する必要がありませんが、1981年以前の住宅であれば義務化がされていなかったため重要な基礎コンクリートでも。鉄筋が入っていませんでした。

他にも、品質に対して制限が緩いと言われています。鉄筋コンクリートの場合は、塩化量の制限が設けられており、鉄筋がサビない工夫が必要になるのですが、無筋コンクリートは制限がありません。また強度も求められていないことから、制限が比較的少ないのが特徴です。

主に、土間コンクリートやラップルコンクリートに適用されています。唯一のメリットとしては、鉄筋の錆による「爆裂現象」が起きないことです。

無筋基礎コンクリートは耐震面に不安がある

無筋基礎コンクリートは1981年以前の建築基準法の時に、多く建てられていました。

今の建築基準法よりが耐震強度設定が低く、強い地震に耐えにくいという問題があります。1981年から築40年以上経っているお家では長年のダメージの蓄積もあり、至る所に大きいひび割れがあったり、ジャンカ(豆板)があるお家が多いです。

<ジャンカについての解説はこちら>
⇒コンクリートのジャンカ(豆板)とは?原因やレベル、補修方法や材料についても

無筋コンクリートを鉄筋コンクリート並みの強度に上げることのできる「ハイブリット工法」で、強度を高めることもできるので、まずは相談してみるといいでしょう。

<基礎補強工事の工法や費用についてはこちら>
⇒基礎補強工事とは?施工方法や費用・ひび割れの原因、実際の症例について詳しく解説

ひび割れがある場合は注意が必要!

上記の通り、無筋コンクリートはひび割れができると、地震や住宅工事、トラックなどの揺れで少しずつ開いていきます。そのスピードは鉄筋コンクリートよりも非常に速いです。

ひび割れ(クラック)には種類があり、自分のお家がどのひび割れにあてはまるか確認してみてください。

ヘアークラック

ヘアークラックは幅0.3mm未満、深さ5mm未満のひび割れのことで、このくらいの幅が2~3本くらいであれば特に気にしなくても良いかと思います。しかし、数が多く住宅全体に広がっていたり、1部分に集まってひび割れがある場合は注意が必要です。

構造クラック

構造クラックは幅0.3mm以上、深さ5mm以上のひび割れのことで、この段階になると劣化のスピードも格段にあがってきます。また、躯体にも影響がではじめ、建物も少しずつずれや傾きが生じてきますので、速やかに対策をしたほうがよいでしょう。

鉄筋(有筋)コンクリートの特徴と性質

爆裂現象基礎鉄筋

鉄筋が入っている基礎コンクリートである「鉄筋(有筋)コンクリート」では、無筋基礎コンクリートに比べて1箇所のダメージ(ひび割れの幅が狭い)は少ないことが多いです。

しかし、打設時の乾燥収縮によるひび割れはないわけではなく、数か所は見られることがほとんどです。これはコンクリートの性質によるものですので、あまり数が多くなければ心配しなくても良いでしょう。

ただ、その後の経年劣化や地震により無筋基礎と比べてひび割れの数が多くなるのが特徴としてあります。多い場合だと、1軒あたり20箇所も30箇所もひび割れがある場合があります。

細かいひび割れが多いのですが、家全体に発生しているため歪みの原因にもつながります。

鉄筋コンクリートの爆裂現象とは

また、鉄筋コンクリートには上の写真のように横のひび割れが発生することも多々あります。最初はうっすらと横方向にひび割れが出始めますが、ひどくなってくると長く、幅も広がっていきます。

最終的にはコンクリートを浮かせたり、崩落させるほどの被害となります。

これは鉄筋が入っていることによる「爆裂現象」と呼ばれるもので、鉄筋が錆びてくることにより体積が膨張します。それにより外側のコンクリートを押し出してしまい、崩落させるという怖い症状です。

この状態になると、基礎コンクリートの強度は著しく下がっているため、速やかに補修が必要となります。

自分の家が有筋か無筋か確認する方法

無筋の場合は強度不足でひび割れが1か所に集中する傾向にあると紹介してきましたが、自分のお家が有筋か無筋かどうやって判別すれば良いかわからない方も多いと思います。

当社では鉄筋探知機を使用し、上の写真のように鉄筋が入っているのを確認していますが、このような機械がない場合は建物の建てられた日を確認してください。

1981年5月に鉄筋を入れることを法律で義務付けられました。そのため、1981年6月以降に建築確認を得ているお家であれば基本的には鉄筋が入っていると考えてよいでしょう。

まれにそれ以前のお家でも鉄筋が使われているお家もありますが、外見から判断するのは難しいため当時建てた会社が残っていれば確認するか、基礎図面にて確認してみてください。

【耐震補強】基礎補強工事の工法や費用について

基礎コンクリートの補強方法にはいくつか種類があります。その中でも今回は代表的な2つを紹介します。どちらも無筋基礎の耐震補強につながる工法となりますので、参考までご覧ください。

ハイブリット工法での耐震補強について

ハイブリット工法とは鋼鉄の5~7倍の引張強度を持つと言われるアラミド繊維シートを使用する耐震補強方法です。

使用する材料は「アラミド繊維シート」と「エポキシ樹脂」の2種類で、基礎コンクリートの本来持っている強度をより強くすることができます。

費用:2~3万円/1m、お家全体で60~80万円前後

基礎コンクリートの増し打ち工事

既存の基礎コンクリートにケミカルアンカーで繋ぎながら隣に新しいコンクリートを入れて強度を上げていく増し打ちという方法もあります。

この方法は、スケルトンリフォームをする際に一緒に行う場合が多いです。なぜなら、既存基礎の真横に新しい基礎を入れていくということになるため、家の外側にスペースがないことが多いからです。

一度しっかりと建物(上物)全体の耐震補強を検討する予定の方には、おすすめの工法となります。

費用については、建物の耐震補強とセットで行うことが多いため、金額はハイブリット工法よりかなり高くなります。お家の規模によって変わりますが、最低でも250万円以上はかかると思ってよいでしょう。

費用:全体で250万円以上~

余談ですが・・外構工事で土間コンクリートに鉄筋なし?

土間コンクリート

外構の工事でコンクリートに鉄筋が入っていない場合の強度はどうなのでしょうか。

最近の工事では鉄筋を入れる場合がほとんどで、駐車場で重い車が出入りしたとしてもひび割れが入らないようにするためです。鉄筋を入れるのが一般的ではなかった時には、土間のひび割れでのクレームが多かったからです。

実際のところ、土間コンクリートの強度については、養生、コンクリート厚、目地などにより変わってきます。当然薄いコンクリートより厚いコンクリートの方が重みに耐えられます。普通車の駐車であれば大体10cm程の厚みがあれば強度は問題ない範囲です。

しかし、普通車以上の車が頻繁に出入りする環境であれば、鉄筋が入っていたほうがより強度が強くなり安心です。

基礎コンクリートはプロに相談

基礎コンクリートの種類や耐震面で不安を覚えた場合は、速やかにプロに相談してみてください。プロであれば、今現状の鉄筋の有無や基礎コンクリートの状況を判断してもらうことができるので、安心して任せることができます。 

他にも、基礎コンクリートがひび割れしているなどの相談にも対応してもらうことができるので、積極的に相談して頼ってみてください。

床下点検・検査

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